- 伝説達成 - |
オモテが剣を抜こうとした。
「待ってください、私です、私。」
じっと顔を見つめてピースが言った。
「あなたは、小屋へ来た時に案内してくれた…」
「そうです。私の名前はヒヨといいます。ラッシュ王様に頼まれピース様達を待っていたのです。古い小屋へ案内します。」
オモテもピースも、安心した。
「良かったよ、ヒヨが来てくれて。方角がわからなくて困っていたんだ。」
「古い塔を知っている者はほとんどいません。だからここへは誰も来ないでしょう。さあ急ぎましょう。」
ヒヨはとても歩くのが早く、二人は必死に後をついていった。オモテがピースに言った。
「ヒヨってとんでもなく足が早いな、ついていけないよ。」
「本当だよ、僕たち置いていかれそうだ。」
すると、ヒヨが緑に包まれた建物のような所へ入ろうとしている。
「ヒヨ、ここは何?」
「ピース様、着きました。ここです。」
二人は見て驚いた。建物は沢山のツタにつつまれ、壁はコケで緑色に染まりよく見ないと建物であることがわからない。
「中へ案内します。」
ツタと緑の葉の隙間をくぐると入口があった。中は、暗くひんやりとしている。ヒヨが明かりを照し奥へと案内した。立ち止まったヒヨは、目の前のノブをつかみ、力強く扉を開けた。絡みついたツタが切れる音がバチバチと響きながらゆっくり開くと、中も木の根や草だらけで何が何だかわからなくなっていた。
「すごい、何十年ぶりでしょう。この草をかき分けて行かなくては。」
ヒヨの後をオモテもピースも草をかき分けながら中へ入っていくと、
「オモテ君見て、きれいな箱があるよ!」
「本当だ、なんの箱だろう。」
その話を耳にし振り向くとヒヨが大きな声で言った。
「ああ〜それです、よく見つけてくれました。その箱へ入れるのです。」
オモテとピースが顔を見合わせた。
「ピース様、箱を開けてその中へ、赤と青のビーンズと黄金のイグサを入れて下さい。」
「これに入れるんだね。」
ピースが箱のフタを開けてみると、赤と青のビーンズ、黄金のイグサを入れるそれぞれの場所が見てすぐわかった。
「オモテ君ドキドキするよ、これでみんなが幸せになれるんだ。」
「そうだね、ピース早く箱に返すんだ。」
ピースがそれぞれの場所に、赤のビーンズ、黄金のイグサ、青のビーンズを置いた。
「あれ、ヒヨ何も起こらないよ。」
「大丈夫です、フタをしてもう少し待ってください。」
二人は、この綺麗な箱をじっと眺めた、すると急に箱がゴトゴトと揺れ始めた。
「なんだこれは!」
オモテとピースも驚き後退りをした。次は急に静かになりフタの隙間から光がもれ始めあた。
「ヒヨ、これからどうなるの?」
「外へ出てみましょう。変化が起きているはず…」
「ちょっと待って!」
オモテが立ち止まった。
「声がするよ、どこから声がするんだろう。」
「ここです、ここです、足元を見てください。」
ピースが指をさした。足元の小さいカエルにオモテは驚いた。
「うわっ!君は?」
「驚かせて済みません、私の名前はピョンといいます。」
「ピョン!?」
オモテとピースが声を揃えて叫んだ。
「もしかするとあなたが、本当のピョン様。以前聞いたことがあります。魔法をかけられあなたの体を乗っ取ったのがピョン王ですね。噂だけで真相はわからなかったのですが。」
屈んで小さいカエルに向かってヒヨが言った。
「そうなんです。私の体と青カエルを入れ替えたのです。この箱のそばにいればきっと助かると信じてずっと待っていたのです。
「あのピョンは、青カエルだったのか?」
「そうです、変な呪文をかけられ気がつくと入れ替わっていました。元の姿に戻りたいのです。」
「それはそうだよな〜いきなり小さい青カエルにされて、一緒に行こう、元の姿に戻してもらうんだ。」
外へ出てみると、今までの雲が嘘のようにスッキリと空が晴れている。
「早くみんなの所へ戻ろう!」
二人は元気よく歩き始めた。慌ただしく声が聞こえる。ピョン王の魔法が溶け、みんなが元に戻ったのだ。小屋へ着くと皆が待っていた。
「ありがとう、君たちのおかげだ。」
ラッシュ王が二人を抱きしめた。ジュウやラグ、ソラ、ダルもみんな無事だった。
「ピース!ごめんなさいね、今までさみしい思いさせて。」
ピースが振り返ると嬉しそうに言った。
「ママ、ママなんだね!会いたかったよ。」
「王妃様、ご無事で何よりです。ピースも立派な戦士となりましした。」
「ありがとう、ソラ。あなたには感謝しています。息子を立派な王子にしてくれて。」
ビーンズ王妃も涙を流して喜んだ。
「ピース、これからはあなたがこの王国を守って行かなくては行けませんよ。ソラとダルに力を貸してもらってね。」
「わかったよ、ママ。」
大泣きしているダルの肩に手を置き、ソラが言った。
「泣きすぎだよダル。」
「ソラ、お前も泣いてるじゃないか。」
涙を拭いソラが言った。
「いいや、泣いてる場合ではないぞ、最後の仕事だ。ピョン王とジャックとアニーをどうする?」
綱で縛られた3人が座っている。
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